エンコルピオのブログ

日々のあれこれと趣味のことを徒然なるままに記す

極私的映画録 2024第1四半期(1月~3月)

何と今年も4分の1が過ぎた。
在宅勤務を中心に生活が回っているとはいえ、時が経つのは早い。


今年も例年のごとく極めて個人的な評価を基にした記録を振り返りたい。
この期間で見た作品は計34本。
いつものように記載する対象は今年公開されたものに限らず、機会あって観たもので製作年度、公開年度は無限定だ。
その中で自分なりに高評価だったもの(再見のものは〇を付した)を以下に記録した。


個々の作品についての詳細なコメントは、キネノートさんに記録してあるのでこちらには詳しくは書かない。


1月 煙突の見える場所(1953日)
 次点 デーブ(1993米)
    ダイヤルMを廻せ!(1954米)
    グッドウィルハンティング/旅立ち(1997米)
    わが谷は緑なりき(1941米)
              海の上のバルコニー(2010仏)


2月 ヒトラーのための虐殺会議(2022独)
         アミスタッド(1997米)
 次点 PLAN75(2022日)


3月 サラの鍵(2010仏)
 次点 なし


1月は意外な作品が、予想外に高く評価できる作品と遭遇できた。
「煙突の見える場所」の現実を描きながらどこか異空間を感じさせる演出と珍しいキャスティングの妙にすっかり魅了された。
「わが谷は緑なりき」は、西部劇ではないJフォード監督の庶民を描く目線に確かな演出力を感じた。
「 海の上のバルコニー」は日本未公開作品だそうで、話自体はありがちな不倫がらみのサスペンスなのだが、背景にフランスのアルジェリア独立紛争がからんでいて興味深い。更に謎の女を演じるマリー=ジョゼ・クローズが魅力的で久々に推しの女優を見つける楽しみもあった。


2月はスピルバーグ監督の「アミスタッド」は、スピルバーグとしては目立たない作品だが、現在のところ3本の指に入る作品だと思う。特に彼の人種差別に反対する信念(これは恐らくユダヤ人に対する差別反対に通じるのだろう)を描いた「リンカーン」の前段に位置ずけられるものでアメリカの歴史を学ぶ上でも貴重な作品だ。
「ヒトラーのための虐殺会議」には、ヒトラーは出てこない。ナチスドイツ政府の会議の議題がユダヤ人問題の最終解決(つまり収容所送りの大量虐殺)のための政府役人や担当軍部の官僚的な会議の様を描く。アイヒマンが極めて有能な官吏として会議を進める様が印象的だ。
「PLAN75」は、倍賞千恵子が日経の「私の履歴書」でも触れていたが、日本の近未来的な老人対策をブラックに描いたもので、何ともやるせない思いを感じた。
ただ安易に安楽死と混同するような紹介のされ方は本作の意図とは違うと考える。


3月の「サラの鍵」は、ナチスドイツに占領されたフランスパリでのフランス警察によるユダヤ人の迫害(ナチスドイツへの協力)による悲劇を描く。
戦後フランス政府はこの事実をシラク大統領が認めるまで否定していたという歴史を学ぶきっかけとなった。


さて今年はまだ4分の3も残っている。
更にいい作品に出合えることを期待しよう。