エンコルピオのブログ

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プログレ5大バンドあれこれ YES編 PART2

  バンドが活動していく過程で、メンバーが脱退乃至分裂することがある。


YESは非常に多い部類に入ると思われる。


その原因を分析してみるといくつか特徴がある。


1.リーダーないし主流メンバーがバンドのコンセプトの実現のために演奏力や作曲に貢献  するようにメンバーに求める場合だ。
この場合は簡単に言えばクビにして他のメンバーを加入させることが多い。


2ndアルバム「時間と言葉」(未完成なアグレッシブさと実験的なサウンドで結構面白い出来だと思うが)でオーケストラの導入に反対したオリジナルメンバーのピーター・バンクス(ギター)が脱退し、3rdアルバム(結構いい曲がある)以降更なる多様なキーボード(シンセサイザー導入)を要請されたがオルガン中心のトニー・ケイが脱退し、よりテクニカルな演奏力と幅広い音楽性のSハウとRウエイクマンが加入した。


この交代劇によってYESのサウンドは、より洗練され難度の高い演奏もこなせるいわゆる1つの全盛期のスタイルが完成した。


もちろんショービジネスの世界だから、ヒットチャート及びレコードの売り上げも影響してくることも要因としてあるだろうが。


2.音楽性の違い(その1)
オリジナルメンバーのドラムのBブルフォードが脱退したのは、広い意味でこの原因だった。
恐らくBブルフォードにしたら「こわれもの」「危機」でこのバンドでやることの1つの極みに達したのだろう。
更にもっと楽器演奏=インスト、インプロビゼーションに比重を置いて、よりリズムの多様性を見出せるキングクリムゾンに参加することが彼の指向に適合したのだと思う。


後任にはジョンレノンのプラスティックオノバンドやセッションドラマーとして有名だったAホワイトが加入した。
この交代でYESのサウンドは一聴ではわかりにくいかもしれないが(それ位ホワイトもレベルが高いことの証左だが)、手数が多く複雑なリズムポジションを取り、スネアの高い音が特徴的なサウンドからバスドラややや単純なリズムパターンのサウンドに変化している。


3.音楽性の違い(その2)
完成度の高いYESサウンド形成に大いなる貢献をしたRウエイクマンの脱退は、リーダー(特にグループのコンセプトや方向性に関して)Jアンダーソンとの対立だ。


当時、Jアンダーソンが傾倒していたヒンズー教の本のコンセプトを基にバリのケチャや民族音楽を大胆に導入した1曲20分前後の全4曲という構成をほぼSハウと2人でほぼ原曲を作成した問題作の「海洋地形学の物語」(個人的には愛聴盤)に対しての拒否反応だ。


「海洋地形学の物語」の前に、Rウエイクマンはソロアルバム「ヘンリー8世の6人の妻」(彼のソロアルバムでは1番好き)を発表し、当時ロック系インストだけでヒットすることが難しい時代にヒットさせたことで自信を深めていた。


結局「海洋地形学の物語」発表後のツアーにいやいやながら参加したが、終了後脱退し、ソロ活動に入る。


バンドはキーボード担当に当初ヴァンゲリスを予定したが、飛行機による移動ができないという理由でパトリック・モラーツが参加する。


後年、ヴァンゲリスとJアンダーソンはコラボしていくつかのアルバムを制作している。
ボーカルはYESそのものだが、YESとは異なり平和で穏やかなサウンドだ。


その後もYESは分裂と結合を繰り返すが続きはまたの機会に。