エンコルピオのブログ

日々のあれこれと趣味のことを徒然なるままに記す

読書録 2023第2四半期(4月~6月)

4月
エマニュエル・トッドの思考地図 エマニュエル・トッド
米露諜報秘録 1945-2020:冷戦からプーチンの謀略まで ティム・ワイナー
市川崑大全 映画秘宝編集部・編
兜町の男: 清水一行と日本経済の80年 黒木亮
流砂 黒井千次
ビジネスエリートになるための 投資家の思考法――The Investor's Thinking 奥野一成


5月
佐藤優というタブー 
80's エイティーズ ある80年代の物語 橘玲
日没 桐野夏生
トッド 自身を語る エマニュエル・トッド


6月
映画監督 小林正樹
クレプトクラシー 資金洗浄の巨大な闇:世界最大のマネーロンダリング天国アメリカ ケイシー・ミシェル
漂流 日本左翼史 理想なき左派の混迷 1972-2022 池上彰 佐藤優
嵐を呼ぶ女「アカデミー賞を獲った日本人女性映画プロデューサー、愛と闘いの記録」 吉崎道代


各著作のコメントはブクログに記してあるので重複は避けるが、気になったことなど以下記す。


「エマニュエル・トッドの思考地図」「トッド 自身を語る」は、ソ連の崩壊を乳児死亡率の上昇というデータから推論した人口統計学者のトッドについてその発言について以前から興味があったので、図書館で借りて読んだ。
フランス人にしては形而上学を拒絶するスタンスが興味深い。
今後彼の研究成果(データ)から家族制度と価値観の関連性等著作をもう少し読んで見たいなと思った。
先日「未来よこんにちは」というイザベルユペール主演のフランス映画を見て、1960年代後半哲学教師のヒロインが3年ほどフランス共産党に入党していたというエピソードがあって、トッドも1967年~69年共産党員だったという記述があったことから当時のインテリが左派に傾倒して現在に至るリアルな姿が印象深かった。


「米露諜報秘録 1945-2020:冷戦からプーチンの謀略まで」は、まさに米露の諜報活動の歴史を描いた大作で、ソ連のスターリン時代の諜報活動が米国に先行していた事実が興味深い。
更にソ連からロシアに解体されながらも大国復活へ野望を抱くプーチン政権のウクライナ侵攻の実体を再認識した。
この本に関連してCIAの創立の頃を描いた映画で、ロバート・デ・ニーロが監督した「グッドシェパード」が大変参考になる。


「市川崑大全」は、市川監督作品を多く鑑賞したことから参考に読んだ。


「兜町の男: 清水一行と日本経済の80年」は、フォローしている黒木亮が自らと共通するジャンルの経済小説のパイオニア清水一行をどう描くか興味深かったが、それ以上に鬼編集者坂本一亀(坂本龍一の父)との因縁が面白かった。


「80's エイティーズ ある80年代の物語」は、橘玲の記事を経済紙で読むことが多く、従前から関心があったが彼がどのような経歴を経て現在に至っているのか(どうも同世代のようなので)を知る上でバブル全盛時代の活動を興味深く読んだ。


「クレプトクラシー 資金洗浄の巨大な闇:世界最大のマネーロンダリング天国アメリカ」は、リアルな資金洗浄の世界に疎い日本人の自分でも、アメリカ各州の思惑(税収確保とか)から合法的にマネロンに加担するリアルな事情を知り、今やアメリカがその総本山に陥ったことに驚愕する。


「嵐を呼ぶ女」は、国際的な映画プロデューサーの草分け的な存在の著者の赤裸々な映画製作にかかわるインサイドストーリーで映画好きには大変興味深い作品。面白かった。