エンコルピオのブログ

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ゾルゲとプーチン

朝食をとりながら、TBSのサンデイモーニングを見ていたら、今ロシアではゾルゲを英雄視するドラマの放映や銅像、駅名にするといったロシアに対する貢献を促す施策があるといったニュースが流れた。


先日「スパイゾルゲ」という篠田正浩監督の引退作品を見たばかりなのでちょっと驚いた。
その作品はゾルゲ事件が時の国際情勢に与えた影響を史実に基ずき丹念に描いた大作で、特に日本での諜報活動が日本、ソ連、ドイツの外交政策や戦争ないし国防方針に大きな影響を与えたことがわかる。


この映画についてキネノートにコメントを書く上でゾルゲを検索したら、篠田監督作品(2003年公開)よりも前に「スパイ・ゾルゲ/真珠湾前夜」という作品が製作され公開されていたことを知った。


それは1961年に公開された日仏合作映画で、岸恵子が当時結婚していた夫であるイブシャンピ監督を動かしてゾルゲの獄中手記を映画化したものだ(日経「私の履歴書」⑳)。


私はその作品は見ていないが、公開当時欧州では大反響だったそうだ。
そしてプーチンは少年時代にこの作品を見て、諜報活動により死刑となるゾルゲの姿に感銘を受けて後にKGBに入る進路を選択する。


ロシア系ドイツ人だったゾルゲは帝国主義の時代に共産主義の理想実現のための活動だったことと共産主義国家のソ連において裕福な家庭でなかったプーチンが出世するための手段であったことを同一視することはできない。
ましてや現代ロシアのウクライナ侵攻の状況下で、国民の祖国に対する献身を促進させるためにゾルゲを利用しようとしていることは明白で苦々しい思いもする。


ただ映画というメデイアが時に人に大きな影響を与えること、ゾルゲという名前が時間、空間を超えて再登場する不思議な因縁に驚きを感じたことは間違いない。