エンコルピオのブログ

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回顧 大林宣彦

先日『A MOVIE 大林宣彦、全自作を語る』という700頁を超える大著を図書館で借りて、自分が過去に見た作品を中心に拾い読みをした。


大林監督と言えば、私にとって1977年公開された「HOUSE」という特撮やアニメーション、細かいコマ割り、ぶっ飛んだ展開の当時見たことのない玉手箱のようなモダンホラーで邦画にも新しいタイプの作品が出てきたなと内心歓喜した。


彼はいわゆるメジャー映画製作会社(東宝、松竹、東映とか)出身の監督ではなく当時大変珍しいCMデイレクター兼自主製作映画出身だった。


彼の登場後、森田芳光や大森一樹といった自主製作映画出身やそれ以外の非メジャー出身の映画監督が多く出てきた。


ただ大林監督は「HOUSE」の後、角川映画で原田知世や薬師丸ひろ子と言ったアイドル映画を多く手掛けるようになって、「HOUSE」のきらめく才気煥発さは影を潜め、期待を裏切られた感じで熱心に見ることもなくなった。


月日が経ち、コロナ禍の2020年4月10日逝去されたニュースと共に彼の遺作「海辺の映画館―キネマの玉手箱」をがんに侵された体で演出する姿をドキュメントする番組をTVで見て、映画にかける情熱を感じて再び作品を見るようになった。


特に晩年、平和反戦に関するメッセージを大林監督に映像化する傾向の作品が多く製作され、また角川映画では影を潜めていた映像の魔術師と呼ばれた大胆な映像の展開が復活していることを再認識したのでした。


大林監督の反戦平和に対する独特なアプローチは、評価の別れるところだと個人的には思うが、まだ多くの未見の作品を残してくれた大林監督に感謝し冥福を祈りたいと思います。


以下見た作品を記載します。
カッコ内は公開ないし製作年、右の年は自分が見た年。


HOUSE(1977)1979
金田一耕助の冒険(1979)1980
ねらわれた学園(1981)1895
転校生(1982)1984
時をかける少女(1983)1984・2020
廃市(1984)1989
天国にいちばん近い島(1984)1985
姉妹坂(1985)1990
さびしんぼう(1985)1986
彼のオートバイ、彼女の島(1986)1986
漂流教室(1987)1989
異人たちとの夏(1988)2022
女ざかり(1994)1994
SADA(1998)2022
理由(2004)2023
その日の前に(2008)2023
花筐(2017)2021
キネマの玉手箱(2019)2023


見た作品は今のところ全部で18本。彼の全作品は44本でまだ評価の高いもので未見のものも多い。
転校生・時をかける少女・さびしんぼうの3作品は尾道を舞台にしているので尾道3部作と言われ、その後新尾道3部作(すべて未見)も製作された。
あえて上記から現時点でのベスト5を選ぶと以下の通り。


異人たちとの夏(1988)
理由(2004)
さびしんぼう(1985)
HOUSE(1977)
キネマの玉手箱(2019)