エンコルピオのブログ

日々のあれこれと趣味のことを徒然なるままに記す

読書録 2023第4四半期(10月~12月)

新年も早くも1週間が過ぎようとしている。


新年早々石川県能登半島沖を震源とする巨大地震が発生し、その被害は日を増すごとに多くの死傷者数も増すことになり大変痛ましいことだ。
現在も家を失い余震の恐怖と寒さに震える多くの人々が不安な日々を過ごしているかと思うと心が痛む。
更に地震の翌日その北陸に救援物資を運搬するための海上保安庁の飛行機が羽田空港で日航の乗客乗務員379人を乗せた旅客機と衝突炎上した事故は連日のしかも関連する惨事だった。
日航の乗務員の的確な判断と乗客の冷静な避難が犠牲者0であったことは不幸中の幸いだった。
ただ羽田空港の事故のあった滑走路の復旧が8日以降とのことで多くの羽田空港を利用している乗客は影響が出ている。
我が家の娘も明日福岡から帰宅する予定だが、当初飛行機だったものが新幹線に変更して帰るようである。
無事帰宅を願う。


閑話休題


さて去年の10月~12月に読んだ本のコメントはブクログに記してあるので重複は避けるが、気になったことなど以下記す。
「レッド・ルーレット」は現代中国を知る上でも読み物としても面白く今年屈指の本でした。
一時国際政治学者?コメンテーター?としてマスコミを賑わしていた三浦瑠璃が夫の逮捕もありマスコミから姿を消して久しいが、実は彼女のSNSから生じたプライバシー侵害の訴訟があり敗訴していた事実を原告(元アナウンサーで弁護士)の手記が「孤闘」でSNSという情報通信プラットフォームによる加害の時代性や訴訟の実態をつぶさに記述してあり興味深った。
同時にこの本をきっかけにかねてから気にはなっていた三浦瑠麗という人物に興味をもって彼女の自伝?的な「孤独の意味も~」も読んでみた。


「ブックオフから考える」は普段からよく利用するブックオフの社会的、文化的なインフラの側面を評価した着眼点が新鮮だったので読んでみた。


いつの間にか自分が愛読者になっていた桐野夏生の本2冊「真珠とダイヤモンド」でバブル経済下の光と闇を描き、「燕は戻ってこない」で出産という女性だけの機能を経済的家族的側面からえぐった作品。いつもの世界に引き込む筆力を感じたが、後者の方が読みごたえがあった。前者は誰か映画化するのでは?と思った。


日本近現代史の東大大学院人文社会系研究科教授である加藤陽子の著作はかつて「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」や半藤一利との共著「昭和史裁判」での資料に基ずく緻密な論理構成で多くの知見を得たが、菅政権下で学術会議会員の任命拒否されたという一件で再び脚光を浴びてしまった。それが腑に落ちないこともあって、その当事者が政府の思惑を分析する文章も含まれる「この国のかたち~」を読んだ。


「THE WORLD FOR SALE」は日経の紹介記事で、余り世間的には知られていないコモディティー・ビジネスの歴史・会社・取引を通じて国際間の資源や金の流れを面白く理解できる。
「お気の毒な弁護士」は、2012年3月から最高裁判事。2016年7月に定年退官した山浦善樹の半生を口述手記したもの。普段知られない最高裁の内幕の人間的な交流や執務も知れt興味深い。またマチ医者のような弁護士事務所時代のエピソードからも著者の人柄が知れて肩肘張らず楽しく読めた。


10月
私が陥った中国バブルの罠 レッド・ルーレット:中国の富・権力・腐敗・報復の内幕 デズモンド・シャム
孤闘 三浦瑠麗裁判1345日 西脇亨輔
この国のかたちを見つめ直す 加藤陽子
ブックオフから考える 「なんとなく」から生まれた文化のインフラ 谷頭和希
孤独の意味も、女であることの味わいも 三浦瑠麗


11月
真珠とダイヤモンド 桐野夏生
データにのまれる経済学 薄れゆく理論信仰 前田裕之
燕は戻ってこない 桐野夏生


12月
THE WORLD FOR SALE(ザ・ワールド・フォー・セール) 世界を動かすコモディティー・ビジネスの興亡 ハビアー・ブラス/ジャック・ファーキー
歴史の本棚  加藤陽子
お気の毒な弁護士-最高裁判所でも貫いたマチ弁のスキルとマインド 山浦善樹

極私的映画録 2023第4四半期(10月~12月)

2023年も大みそかを迎え、2024年の新春を祝う。
毎年の光景のようでありながら、家族も自分も社会も変化している。
それでも同じことを飽きもせずに続ける楽しみを持ち続けていたいと思う。
自らの感受性と考える力と環境を維持する源泉となることを祈念して。


さて2023第4四半期(10月~12月)で見た作品は36本だった。
したがって今年見た映画総数は165本ということになる。
2022年の188本よりは減少したが、2021年の140本よりは上回っている。
別に本数を競っているわけではない。
感動したり、期待以上だったり、新しい世界を見せてもらったり広い意味で楽しめればいい。
さてその中からいつものように、記載する対象は今年公開されたものに限らず、機会あって観たもので製作年度、公開年度は無限定だ。
その中で自分なりに高評価だったもの(再見のものは〇を付した)を以下に記録した。
また月によって該当作品なしと記すのも淋しいので、今回より次点と評価した作品も記載した。
個々の作品についての詳細なコメントは、キネノートさんに記録してあるのでこちらには詳しくは書かない。


10月 街の灯(1931米)
   クーリエ:最高機密の運び屋(2021英米)
   秘密と嘘(1996英)
(次点)ロープ(1948米)
    パーフェクト・ケア(2020米)
    マーシャル 法廷を変えた男(2017米)


11月 なし
(次点)汚れなき祈り(2012ルーマニア フランス ベルギー)


12月 風の中の牝雞(1948日本)
   スノーデン(2016米独仏)
(次点)疑惑の影(1942米)
    パッチ・アダムス トゥルー・ストーリー(1998米)


やはり実話モノは、製作者側の意欲と事実は小説より奇なりとディテールのリアルさ説得力がある。
「クーリエ:最高機密の運び屋」は冷戦下の英米のソ連での民間人を使った諜報活動、「マーシャル 法廷を変えた男」は黒人として初めて米連邦最高裁判事になったサーグッド・マーシャルの弁護士時代の黒人差別に基ずく刑事裁判の弁護活動、「汚れなき祈り」は21世紀になっても実際に起こった悪魔祓いの事件の実態を、「スノーデン」は多くのマスコミでも報道されたアメリカ政府の膨大な国内外を網羅した監視システムの存在と実態を告発した事件の全容を、「パッチ・アダムス トゥルー・ストーリー」は権威主義的な医学会に患者の視線に合わせた、無料医療活動を通じて医学会を革新しようとする実在の医師の誕生までを描く。


またヒッチコックで未見の作品「ロープ」「疑惑の影」をフォローしていたが、やはり質の高さを感じた作品だった。


「秘密と嘘」はイギリスを舞台とした作品ながら、家族間の人間関係を通じて微妙な心情や過去の秘密を丁寧にに描き、まるで小津映画のようだと思った。
それがきっかけで未見の小津映画「風の中の牝雞」を見たら、想定してなかった心揺さぶる作品だった。
流石に名匠巨匠と言われる監督たちの作品は並ではないことを再認識した。


2024年も楽しみだ。

大前研一氏の意見に賛同する

最近テレビを見ることがかなり少なくなった。
ニュースや天気予報を食事の時間に見るくらいで、見たいものはネットの方が気軽に見られる。
更にラジコのおかげで、ラジオを聴くことが多くなった。


旧態依然の機関としてNHKの存在が疑問に思っていた矢先、プレジデント・オンライン2月3日号の大前研一氏のNHKの受信料ひいてはNHKの在り方についての意見を読み、その意見に共鳴した。


その意見を要約すると、公共放送の第1の使命である報道に特化して正確、迅速に伝えることを最優先にすべきである。
大相撲、高校野球といったスポーツ番組と紅白、朝ドラ,大河ドラマといったエンタメ番組は、見たい者が受信料ではなく課金制をとって見ればいい。
また報道に特化した受信料は月100円程度がよい。


更に大前氏はEテレも公共性が高いので、そのままでいいと言われているがもっとレベルの高いものにすべきとも主張している。


しかし、ネットで教育に関わるコンテンツは多くあることから、公共放送の枠組みに残すことはないと思う。


もし公共放送の枠に残すとしたら、課金制として未成年の子供を持つ家庭には、登録させて無料開放すればいい。それは子供に対する予算から出せばいいことだ。


それ以外は大前氏の意見に全面的に賛同する。


金融資産が8674億円もあるのに(東洋経済新報1月28日記事)税負担もない特権体質。


今回民間(日銀→リコー)出身の稲葉氏がNHK会長に交代する際の記者会見で「公共的な使命感に基づいて制作に専念、まい進できる組織を作っていく」発言の意味をよく吟味して「デジタルの時代に合ったチャンネルや受信料の仕組みに変えていく」ことが望まれる。